届けられたさまざまな生地をひとつの糸にするために、まずは前準備としてそれぞれの生地を細かくカット。機械に何度も通しながら30cm、5cmとどんどん小さくしていきます。素材が違う生地をキレイに、そしてスピーディーにカットしていくのは技術が必要。職人が手慣れた雰囲気で作業し、最終的には２cm四方ほどの大きさに。

名古屋のカット工場で細かくなった生地は袋詰めにし、岐阜にある紡績工場に送ります。70種類もの生地をリサイクルする新たなチャレンジということもあり、ひとつの製品ができるまで、各工程においてそれぞれ高い技術を持つ職人や工場にお願いしており、名古屋、岐阜、和歌山と生地を移動させながらアイテムを作っていきます。

紡績工場に届いた小さくなった生地たちを、最終的にひとつの糸にするためにここで綿の状態にします。実はこのさまざまな色や素材の生地を綿にしていくのは国内でも珍しい特殊技術。より混ざっていくように、綿を体積させたりと少しずつ調合していきます。いくつかの工程を経て綿が混ざったら、筒状にラッピングします。

ラッピングされた綿は、機械を通して短い繊維など不純物を落とすことで薄く白い状態に。リサイクルの場合ここの設定は緻密な計算と技術が必要で、誤ると商品になった際に糸が切れてしまうことも。その後、棒状になった綿を、さらにいくつかの工程を経て細かく割いていき、糸にしていきます。最後に筒に巻き付け完成です。

多くの工程を経て、糸の完成。70種類もの生地を混ぜて糸にしているのでひとつずつ微妙に表情が違うのもリサイクルらしさ。また、多数の生地を混ぜることで太くて短い繊維の糸となり、タッチ感として柔らかい風合いに仕上がるのも特徴です。さまざまな生地がひとつの糸となり、ここから次の工場に送られてデザインされていきます。